研修会時の質問【令和4年1月15日 開催分②】

【講義名】今さら聞けない電解質測定の基礎と応用
【回答者】牧野 麻衣 先生(株式会社エイアンドティー)

 

Q1:血液ガス分析装置の電解質と生化学自動分析装置の電解質で値が乖離していることが多いのですがそれは何故ですか?特にKで多くみられます。ほとんどの検体で0.4ぐらい変わります。ほとんどKだけ動きます。

A1:血液ガスと生化学分析装置のKが乖離するとのことですが、どちらが高い、低いという傾向はありますでしょうか。
一般的に血清Kが高値となるケースとしては、研修会でもお伝えしたとおりスライド31-32ページに該当することがないかご確認いただければと思います。
お問い合わせの乖離は、特定検体だけではなくほとんどの検体で見られるということでした。
文献(血液透析(HD)患者のガス分析電解質(Na,K,Cl)と血清電解質の比較_透析会誌 52(5):281~284,2019)によりますと、直接法での血液ガス測定結果と比較して、ISE間接法での血清Kの方が高値となっている場合は、血小板凝集によるカリウム高値が考えられます。プレーン管で血液が固まる際に血小板が破壊され、血小板内のカリウムが流出することが原因で血清Kが高値となるようです。このため、乖離の原因を特定する方法の一つとして、抗凝固剤を使用した血漿測定が考えられます。


Q2:ご講演ありがとうございました。直接法と間接法でデータが乖離する病態の場合、その患者に対しては直接法で電解質の管理をする方がよいのでしょうか?

A2:スライド50ページでご紹介した体積置換の影響を受ける(高脂質・高タンパク)など、検体の特性上間接法での測定が不向きとあらかじめ分かっている場合には直接法で測定いただく方が良いと思います。


Q3:Cl以外の電極の流路はまっすぐでClの電極の流路は曲がっていると聞いたのですがなぜですか?

A3:各電極膜の特性に応じて最適化された形状になっています。

2022年02月02日