研修会報告

令和5年11月18日開催分

第7回臨床免疫化学検査部門研修会は、1名の講師をお招きして開催しました。

テーマ:臨床化学検査におけるデータトラブル事例集
講師:株式会社シノテスト 木下祐美子 先生

 前半は異常データの成り立ちを理解する上で必要な生化学分析装置の基礎や分析法(2波長測定やエンド法、レート法)、反応タイムコースについて、後半では実際の日常検査で報告されたデータトラブル事例を装置、試薬、検体の3つの原因に分けて詳細に解説して頂きました。特に装置に起因する事例では、原因と対処方法について図を交えて詳しく説明いただけて、装置メーカー関係なく今後活用できる内容だと感じました。
 臨床化学検査は高度に自動化され、分析装置のスタートボタンを押すだけでデータが出るようになりましたが、異常データが発生した場合は装置からのデータアラーム等がない場合が多く、我々臨床化学担当検査技師が五感を働かせてその異常に「気付く」必要があると改めて認識しました。今回の研修会が皆さんの日常業務の一助となれば幸いです。

報告者:一瀬 亮介(市立大津市民病院)

2023年12月03日

令和5年7月8日開催分

第4回臨床免疫化学部門研修会では1名の講師をお招きし開催しました。

テーマ:血液ガス分析

苦手克服! 臨床検査技師が知っておくべき血液ガス分析 ~基礎編~
シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティックス株式会社 濱田 宏輝 先生

 濱田先生には、救命救急センター等で臨床検査技師としてご活躍されていた経験から、血液ガス検体の取り扱いから臨床検査技師が知っておくべき呼吸状態の評価、酸塩基平衡の評価について詳しくご講演頂きました。練習問題ではスマートフォンを用いたクイズ形式でWEB視聴している方も参加しやすい工夫をしていただき大変勉強になりました。
血液ガス分析を苦手に感じている方、新入職者の方にとって、救急医療の初期診療において重要な役割を担っていることを再認識できた研修会になったのではないでしょうか。
次回の研修会も引き続き濱田先生にご依頼し血液ガス分析についてご講演頂けます。ご施設で困っている点や疑問に思うことなどあればご質問できる良い機会になりますので次回もご参加いただければ幸いです。

報告者:齊藤 健太(公立甲賀病院)

2023年07月25日

令和5年5月20日開催分

第1回臨床免疫化学検査部門研修会は、4名の講師をお招きし開催しました。

テーマ:検体測定を始める前に!~分析装置について理解を深めよう~

① 生化学自動分析装置の仕組み       富士フイルム和光純薬株式会社  鈴木 智明 先生
② 乾式臨床化学分析装置の仕組み      富士フイルムメディカル株式会社 高吉 尚子 先生
③ 自動化学発光酵素免疫分析装置の仕組み  富士フイルム和光純薬株式会社  福辻 真由 先生
④ 「試薬・機器について学ぶpart1」オートタキシン活性測定法について  富士フイルム和光純薬株式会社  北川 寿仁 先生

 皆さん分析装置は日常的に使用していると思いますが、新年度になり新人検査技師が入職したり、ローテーションで担当部門が変わったりと、各職場で変化があったかと思います。そこで新年度初めの勉強会で、改めて分析装置について学ぼうと企画しました。
 今回の研修会では、(分析装置・試薬を取り扱う)富士フィルム和光純薬株式会社より講師をお招きし、生化学自動分析装置、乾式臨床化学分析装置、自動化学発光酵素免疫分析装置それぞれについて基本的な仕組み・原理、また肝線維化マーカーであるオートタキシンについて講演していただきました。
 鈴木先生には生化学自動分析装置について、測定原理や各メーカーの特徴、分析パラメータについてお話していただきました。生化学検査担当者も、これから生化学検査に携わる方にとっても吸光光度分析法(レート法、エンド法)の使い分けなど、業務中意識せずに測定しているかもしれませんが、わかりやすくご説明していただきました。
 高吉先生には乾式臨床化学分析装置についてドライケミストリーの原理、分析装置(液体法)との比較についてご説明していただきました。私自身、ドライケミストリーを使用したことがなく、初めて聴くことが多かったです。ドライケミストリーの勉強会は少ない印象で、活発な質疑応答の機会にもなりました。
 福辻先生には自動化学発光酵素免疫分析装置について抗体抗原反応、B/F分離(洗浄)のように、実際に分析装置で用いられている反応様式についてご説明していただきました。イラストを用いた説明は非常にわかりやすかったです。
 北川先生には肝線維化マーカーであるオートタキシン、またオートワコー試薬の紹介をしていただきました。令和5年2月より保険適用となり興味を持っているご施設もあるかと思います。試薬の安定性、相関性、注意点など実際に使用する際に気を付けるべきポイントをご説明していただきました。

 参加された皆さんにとって、分析装置に対して今一度理解を深めるいい機会になったかと思います。今年度も多数の研修会を予定しておりますので、皆さんのご参加をお待ちしております。

報告者:井上 雄斗(独立行政法人 国立病院機構 東近江総合医療センター)

2023年06月01日

令和5年1月14日開催分

第7回臨床免疫化学検査部門研修会は、2名の講師をお招きし開催しました。

テーマ:認知症関連検査を学ぶ~タスクシフトに向けて~

①検査技師が関わる認知症      滋賀医科大学医学部附属病院 藤村 博和 先生
②認知症診断の基礎とバイオマーカー H.U,フロンティア株式会社 福田 雅之助 先生

 認知症は、日本における超高齢化社会においてますます深刻化する問題の一つであり、認知症関連検査は今後もその需要が高まることが予想されます。臨床検査技師としても一人の医療従事者としても認知症を知っておくことは今後重要になってくる課題であると考えています。今回の研修会では、認定認知症領域検査技師を取得している検査技師と、認知症バイオマーカーの試薬を扱う試薬メーカーの2つの題目から認知症について講演していただきました。日常業務においてあまり触れることが無いと思われる認知症を知る一つのきっかけになればと思います。認知症は完治しない病気です。早期発見が非常に重要であり進行を遅らせることで生活の形や介護や看護のあり方が大きく変化します。早期発見のための神経心理学的検査や今回発表していただいたバイオマーカーも加え認知症診断のアプローチは大きく変わろうとしています。さらに今後は血清検査で測定可能となります。次に、認知症領域検査技師の役割は、認知症の早期発見や病態の把握にとどまらず、認知症予防やリハビリテーション、介護など、様々な分野で求められるようになると考えられます。また、ICT技術や人工知能の進歩により、より正確かつ効率的な認知症検査や診断が可能になることが期待されます。
 日本臨床検査技師会としてもまだ新しい認定資格でありこれからの認定者の増加を期待しています。医師のタスクシフト・シェアの一環として認知症に少しでも興味持っていただいた方は取得を目指して頂けたら幸いです。

報告者:藤村博和(滋賀医科大学医学部附属病院)

2023年05月06日

令和4年11月26日開催分

第6回 臨床免疫化学検査部門研修会は、3名の講師をお招きして開催しました。

 

① 滋賀県における肝炎対策について

  滋賀県 健康医療福祉部 感染症対策課 感染情報企画係  塚本 ゆい 先生

② 患者さんを確実に治療へ導くために ~HCV抗体検査結果伝達漏れ防止策~

  アッヴィ合同会社 肝炎・オンコロジー事業本部  山﨑 貴史 先生

③ 肝炎医療コーディネーターの活動事例

  宝塚市立病院 医療技術部 臨床検査室技師長  中筋 幸司 先生

 

 塚本先生には、タイトルの通り滋賀県における肝炎対策についてお話いただきました。また、肝炎医療コーディネーターの概要についてもご説明いただき、今後の養成研修会の予定などもご紹介いただきました。

 山﨑先生には、HCVを含むウイルス性肝炎について簡単にご説明いただいた上で、C型肝炎治療の変遷によりかなり高い確率でウイルスを排除することが可能となった今、HCV撲滅に向けて各職種の院内連携の重要性についてお話いただきました。院内連携を行うにあたり、私たち臨床検査技師がどの様に貢献できるかについてもご提案いただきました。

 中筋先生は、肝炎医療コーディネーターとして院内でご活躍されておられ、ご施設での取り組みについて詳細にお話いただきました。また、兵庫県内の医療機関に所属しておられる肝炎医療コーディネーター間で活動内容や情報共有をする場としてHyogo Co-Co Meetingを開催しておられる事についてもご紹介いただきました。

 各先生ともにわかりやすくお話いただきとても勉強になりました。また、前述した通り、HCVは治療薬の進歩により高い確率で排除することが可能となっています。検査データを取り扱う臨床検査技師としてHCV陽性患者さんを確実に治療に導くことの重要性を改めて認識しました。また、私たち臨床検査技師も単に検査データを登録するのみではなく、院内連携の一員としてしっかりと役割を果たせるような取り組みをしていかなければならないと感じました。

 今回、研修会を聴講いただいた皆さんにも是非、肝炎医療コーディネーターの取得を目指していただき、今後院内で更なるご活躍されることを願っております。

 

報告者:松田 哲明(大津赤十字病院)

 

2022年12月17日
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