研修会時の質問【令和5年5月20日開催分①】
【講義名】自動分析装置の仕組みと測定原理の基礎
【回答者】鈴木 智明 先生(富士フイルム和光純薬株式会社)
Q1.Feなど即時に反応が終了するキレート反応を利用する測定系であっても第二反応の反応時間を5分と設定されている理由を教えてください。
A1.自動分析装置においては、反応温度が37℃、反応時間は第1反応、第2反応ともに5分(計10分)程度に主に設定されています。その為、キレート反応のように即時に反応であっても同様の設定に至適化しております。なお、限定するものではありません。
Q2.再生不良貧血の治療薬であるレボレードを長期で使用している患者さんの血清は物凄く褐色状を帯びていますが、極大吸収波長はどのnmになりますか?またそれは2ポイント法で回避できますか?
A2.褐色状の検体における極大吸収波長等について和光でのデータはございませんでした。
また、2ポイント法での回避の可否については測定項目によって影響の度合いは異なると考えられます。例としてFe試薬は2ポイント法を使用していますので、検体ブランクを測定しておりますが、最終的に赤色の吸光度を測定して試料中のFe濃度を求めているため、影響の濃い場合に測定値に影響が無いと言い切ること難しい項目となります。
なお、レボレードの添付文書には「エルトロンボパグは赤〜褐色である為、臨床検査に影響を及ぼす可能性はある。本剤を投与された患者において、血清の変色や総ビリルビン及びクレアチニン検査に影響が認められたとの報告がある」とレボレード錠12.5㎎(ノバルティスファーマ社)の添付文書に記載があります。
Q3.電解質のキャリブレーションで気をつけて見るところを教えて下さい。
A3.電解質は電極への血清や電極液などの馴染みや電気的ノイズの影響により異常値となる可能性があります。その為、キャリブレーション時にはアラーム発生の有無・SLOPE値が低下・入力濃度値などについて確認下さい。また、装置毎によって表記も異なりますので、詳しくはご使用の装置メーカーにお問い合わせください。