研修会時の質問【令和5年5月20日分④】
【講義名】オートタキシン活性測定のご紹介
【回答者】北川 寿仁 先生(富士フイルム和光純薬株式会社)
Q1.Fib-4 indexが病態を反映しないような数値(偽高値や偽低値)を示す場合に、年齢以外の原因として何があげられるか教えていただきたいです。
A1.下記の文献では、FIB-4 IndexやNAFLD fibrosis scoreが若年や肥満、2型糖尿病の有無の存在下で診断能が低下することが指摘されています。一方で、2型糖尿病合併非肥満NAFLD患者ではそれらの診断能が最も高くなることが分かりました。
Poor diagnostic efficacy of noninvasive tests for advanced fibrosis in
obese or
younger than 60 diabetic NAFLD patients.
Clinical Gastroenterology and Hepatology 2023;21:1013–1022
Q2.悪性リンパ腫で高めになる原因はどのような事が考えられますか?
A2.下記の研究では、自動酵素免疫測定法を使用して、血液悪性腫瘍患者の血清ATX抗原濃度を測定し、濾胞性リンパ腫(FL)患者の血清ATX抗原レベルが健常者よりも有意に高い結果となりました。さらに、FL患者の白血病腫瘍細胞はATXを発現することが示されました。
これらの結果は、リンパ腫細胞からのATXの放出が血清ATX濃度の上昇につながることを示唆するものとして考察されています。
Serum autotaxin measurement in haematological malignancies:a promising
marker for follicular lymphoma
J Haematol. 2008;143(1):60-70.
Q3.ATXはCKMBのように濃度値での結果報告はできないのでしょうか?(濃度値でのカットオフは使用されていないのでしょうか)
A3.蛍光酵素免疫測定法、化学発光酵素免疫測定法の測定キットでは濃度値での報告が可能です。ご紹介しました弊社酵素法の測定キットでは活性値での報告が可能です。カットオフの単位は使用される測定キットの報告単位と同一である必要があります。